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不動産投資の融資の流れとは?投資ローンを受けるための条件や金利を解説

不動産投資

中野 治

筆者 中野 治

宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー®️・古家再生投資プランナー®️・一級建物アドバイザー
20年以上の経験を活かし、住宅購入や不動産、資産運用、ライフプランに関するアドバイスを提供。初めての不動産売却や物件購入、借り換えを検討中の方に寄り添った提案が得意。セミナーやブログを通じて、不動産や資産形成に関する情報を発信中。

不動産投資において、銀行からの融資を利用することは、成功への重要なステップです。

そこで今回は、不動産投資における融資の流れや、不動産投資ローンを受けるための条件と金利について解説します。
不動産投資を検討している方は、ぜひ参考になさってください。

不動産投資における融資を受けるまでの流れ

不動産投資における融資を受けるまでの流れ

不動産投資でオーナーを目指す際、多くの方が活用するのが「金融機関」からのローンです。
不動産を担保にするローンは、高額な物件でも自己資金を抑えながら購入できる大きなメリットがあります。
実際に「申し込み」をおこない「融資を受ける」までの主な流れを解説します。

①投資用物件の選定・情報収集

はじめに、自身の投資目的や予算に合った物件を探しましょう。
物件の立地条件や周辺の賃貸需要、将来的な資産価値などを総合的に検討することが大切です。
信頼できる不動産会社を活用し、複数の物件情報を比較・検討しましょう。

② 購入計画の策定(シミュレーション)

次に、物件価格や想定賃料、返済期間などを基に、収支シミュレーションをおこないます。
家賃収入とローン返済額・管理費などの費用を比較し、キャッシュフローが黒字になるかを把握することが重要です。
将来的な金利上昇や修繕費など、リスクを考慮した計画を立てておくと安心です。

③金融機関の選定・事前相談

投資用ローンを取り扱う「金融機関」は複数あります。
都市銀行、地方銀行、信用金庫、ノンバンクなど、それぞれ金利や融資条件が異なります。
複数の金融機関に相談し、金利や融資期間、頭金の有無などの条件を比較検討するのがおすすめです。
事前相談では、自分の収入や資産状況、購入希望物件の情報などを伝え、融資可能額や融資条件をある程度把握することができます。

④物件の売買契約締結

購入したい物件が決まり、融資条件が大まかに確認できたら、不動産会社を通じて売買契約を締結します。
売買契約時には手付金が必要となる場合が多いため、事前に資金計画をしっかり立てましょう。
なお、売買契約は融資審査が通らない場合を考慮し「融資利用特約」(ローン特約)を付けることが一般的です。
特約により、万が一融資が受けられなかった場合、違約金を支払わずに売買契約を解除できます。

⑤ローンの申し込み・審査

売買契約を結んだら、いよいよローンの「申し込み」をおこないます。
金融機関に必要書類(源泉徴収票、確定申告書、物件資料など)を提出し、融資審査がスタート。
審査では、申込者の返済能力や物件の担保価値が総合的に評価されます。
審査期間は金融機関や申込内容によって異なりますが、数日?数週間かかることが一般的です。
追加資料の提出を求められる場合もあるので、スムーズな提出を心がけましょう。

⑥融資契約の締結・融資実行

審査に通過すると「融資を受ける」ための契約手続きをおこないます。
ローン契約では、金利タイプ(固定・変動など)、返済方法、返済期間、金利優遇の有無などを再度確認しながら書類に署名・捺印をおこないます。
契約締結後、金融機関が融資を実行し、その資金で物件を決済。
こうして晴れてオーナーとして不動産を取得することができます。

不動産投資の融資を受けるために必要な条件とは?

不動産投資の融資を受けるために必要な条件とは?

不動産投資を始める際、多くの方が「投資用ローン」を利用します。
しかし、投資用ローンは住宅ローンに比べて審査基準が厳しめであることが特徴です。
金融機関がどのような点を重視しているのか、主な条件は以下のとおりです。

条件①申込者自身の「信用度」

金融機関は、申込者が過去にローンの延滞や未納がなかったか、クレジットカードの支払い履歴なども含め、総合的に「信用度」をチェックします。
信用情報
過去に返済トラブルがあると融資審査では不利になります。
携帯電話端末の分割払いも「ローン」として扱われるため、未納がないか改めて確認しておきましょう。
他社からの借り入れ状況
すでに複数のローンを抱えていると、融資実行後の返済リスクが高いと見なされる場合があります。
職業や雇用形態、勤続年数
雇用の安定度合いも「信用度」を測る指標になります。
とくに勤続年数が短い場合は安定性の評価が低くなるため注意が必要です。

条件②申込者の「返済能力」

もうひとつ重要なのが、金融機関が見極める申込者の「返済能力」です。
不動産投資ローンの場合は、投資用物件の家賃収入も含めた返済計画が考慮されますが、基本的には「申込者自身の所得状況」が重視されます。
年収・所得状況
安定した収入があるほど有利です。
とくに高額の借り入れを希望する場合、会社員や公務員などの安定収入が評価されることが多いです。
自己資金の有無
頭金をどの程度用意できるかも、返済負担を軽減する上で重要なポイントとなります。
一般的に「頭金を多く用意できる=返済能力が高い」と判断されやすくなります。
資産背景や負債状況
現在保有している金融資産や、不動産以外の負債(カードローン、車のローンなど)も審査の対象です。
自己資産と負債を総合的に見て、返済が可能かどうかをチェックされます。

条件③投資用物件の担保価値

投資用ローンの場合、申込者の個人情報だけでなく、融資対象となる物件自体の担保価値も審査に大きく影響します。
物件の立地条件や築年数、将来的な資産価値、賃貸需要などを総合的に評価し、融資が実行されるか、融資額はいくらになるかを決定する流れです。
立地・環境については、駅からの距離や周辺施設などの利便性、需要の高さが評価されやすいポイントとなります。
物件の状態については、築年数や構造、管理状況もチェックされます。
築古物件はローン審査がより厳しくなる傾向があるため、購入前の調査が重要です。
人口動向や再開発計画など、長期的に家賃収入が見込めるかどうかも考慮されます。

不動産投資における融資の金利について

不動産投資における融資の金利について

不動産投資ローンを利用する際、返済計画に大きく影響するのが「金利」です。
住宅ローンに比べると投資ローンの金利はやや高めに設定される傾向がありますが、それでも「固定金利」と「変動金利」のどちらを選ぶかによって、返済額やリスク回避の方法が変わってきます。
固定金利と変動金利の特徴と選ぶ際のポイントを解説します。

固定金利とは

「固定金利」とは、ローンの借り入れ時に決定した金利が返済期間中(または一定期間)変わらないタイプの金利です。
メリットは、金利変動の影響を受けず、返済額が一定で安定している点です。
将来の金利上昇リスクを回避できるため、長期的な返済計画が立てやすい特徴があります。
デメリットは、金利が「固定」されるぶん、一般的には変動金利よりも初期の金利水準が高く設定されやすい点です。
市場金利が大幅に下がっても、返済額を減らすことはできません。
ただし「全期間固定金利」のほか、「一定期間のみ固定し、その後変動金利に移行するタイプ」など、商品によってさまざまな形態があります。

変動金利とは

「変動金利」とは、金融機関が設定する基準金利の変動にともない、定期的に金利が見直されるタイプの金利です。
メリットは、初期金利が低く設定される傾向がある点です。
市場金利が下がれば、返済額も下がる可能性がある点も魅力になります。
デメリットは、市場金利が上昇した場合、返済額が増加するリスクがある点です。
返済計画が金利変動の影響を受けやすく、長期的なシミュレーションが複雑になりやすいです。
ただし、金融機関によっては、半年ごとの見直しがあっても返済額を年に1回しか見直さないなど、返済額の変更タイミングや上限・下限のルールが異なる場合があります。
「上限金利特約」などを設定できる商品もあるため、リスクとコストのバランスを慎重に検討すると良いでしょう。

まとめ

不動産投資用の融資を受けるには、申込者の「信用度」と「返済能力」、そして購入しようとしている物件の担保価値がポイントになります。
複数の金融機関で事前相談をおこない、最適な融資条件を探すのがおすすめです。
固定金利にするか変動金利にするかについては、それぞれの特徴をふまえて慎重に判断しましょう。


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