
【物件活用事例】池之端の老舗印刷会社、地域に新たな価値を届ける場所へ。光画館ビル、歯科クリニックとして始動!
東京都台東区池之端。上野公園の緑と文化の香りが漂うこの街に、長年にわたり特殊印刷業を営んできた有限会社光画館という歴史ある会社があります。戦後の復興とともに地域に根ざし、独自の印刷技術で多くのクリエイティブに貢献してきたその歩みは、代々にわたる職人の想いと誇りに彩られたものでした。
そんな光画館から、当社にいただいたご相談。それは、現代表のご勇退に向け印刷業を縮小し、池之端のビルをどう活かしていくかというものでした。

築40年。だけど、強さと魅力を秘めた建物

ご相談を受けた当初、私たちはまず「スケルトン化」という選択肢をご提案しました。つまり、内装を一度解体し、コンクリート剥き出しの状態に戻すことで、将来のテナントに自由な設計余地を与えることができます。
この提案に対し、オーナーである現代表は大きな決断をもってご同意くださいました。「代々続いた建物を、次の世代に価値ある形で残したい」という想いとともに、賃貸業という新たな挑戦への一歩を踏み出すこととなりました。

スケルトンにしてからまもなく、私たちの想像を超える反響がありました。特に目立ったのは、「歯科医院開業」のニーズでした。池之端エリアの人口動態や医療需要の変化を背景に、複数の歯科医師の方からお問合せをいただいたのです。

特定用途、「歯科クリニック」の難しさと責任
しかし、ここからが正念場でした。
歯科クリニックとして利用する場合、「特定防火対象物」に該当し、延べ床面積500平米を超えるこの建物では特定用途建築物の扱いになります。これは、消防法の観点からも重要なポイントであり、テナントの開業にあたって、通常の事務所用途とは比べ物にならない消防設備の設置義務が生じます。
自動火災報知設備、防火区画、避難誘導灯…。こうした設備は、テナント部分だけでなく、建物全体にわたって整備が求められるため、築古の建築物では想定以上のコストが発生することがあります。
私たちは、リスクとコストの両面を正直にオーナーへお伝えしました。そして、それでもなお「この建物を未来につなげたい」と願うならば、長期的に見て大きな価値となる「防火設備への全館投資」こそが最善の選択であることを丁寧にご説明しました。
そして、オーナーはそのすべてをご理解くださり、快くご決断くださいました。
多くのプロフェッショナルの力がひとつに
防火設備の工事にあたっては、信頼する設備業者の方に多大なるご尽力をいただきました。また水道設備の切り分けも一筋縄にはいきませんでした。築年数のある建物ゆえ、配管の構成が複雑で、給排水の独立化には想像以上の調整が必要でした。
それでも、職人の皆さんが妥協することなく丁寧に対応してくださったおかげで、施設としての安全性・機能性は格段に高まりました。
「築年数が長く歴史ある建造物に、新しい命を吹き込む。」
これは、決して簡単なプロジェクトではありませんでしたが、それゆえに関わる人すべてが、ひとつの大きな達成感と未来への希望を共有できたと確信しています。
歯科クリニック開業へ。地域に愛される場所として
今回、テナントとして新たにご入居くださったのは、地域医療への熱い情熱を持つ歯科医師の先生。4月には賃貸借契約を締結、5月からの約2ヶ月半にわたってテナント内装工事および各種設備の追加工事を行い、無事、7月下旬に開業を迎えました。
開業準備期間中、幾度となく現地で顔を合わせる中で、私たちも先生の丁寧なご対応や、スタッフのみなさまの明るく真摯な姿勢に感銘を受けてきました。
そして今、建物のエントランスには清潔であたたかな受付カウンターが設けられ、笑顔で迎えてくれるスタッフの方々がいます。印刷会社として歴史を刻んできた空間は、いまや「地域の健康を支える空間」へと生まれ変わったのです。

最後に ― 感謝を込めて
この場を借りて、まずは光画館のオーナーさまに心より感謝申し上げます。建物の価値を信じ、大きな決断をしてくださったこと、そして新しい未来をともに描かせていただいたことに、深く御礼申し上げます。
また、工事に携わっていただいた全ての設備業者・職人の皆様、本当にありがとうございました。皆さまの技術と誠意がなければ、この再生は成し得ませんでした。
そして、今回ご入居くださった歯科医の先生ならびにスタッフの皆さま、池之端という街に、これからも笑顔と安心を届けていただけることを、地域の一員としてとても心強く感じています。
台東区を拠点とする私たち、株式会社ReGo|浅草永住町リゴ不動産は、単に不動産を「売る」「貸す」だけの存在ではありません。建物と街、そして人をつなぎ直し、価値を再編集すること。それが私たちの使命だと考えています。
この池之端でのプロジェクトが、ひとつの象徴となり、多くの建物が次なる物語を紡いでいくきっかけになればと願っています。
