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焦って売る人、動かない人

不動産活用

中野 治

筆者 中野 治

宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー®️・古家再生投資プランナー®️・一級建物アドバイザー
20年以上の経験を活かし、住宅購入や不動産、資産運用、ライフプランに関するアドバイスを提供。初めての不動産売却や物件購入、借り換えを検討中の方に寄り添った提案が得意。セミナーやブログを通じて、不動産や資産形成に関する情報を発信中。

「もっと早く売っておけばよかった」

「あの時焦って売らなければよかった」

不動産の現場でよく聞くコメントです。

日経平均は最高値を更新し、円安は進み、建築費も上昇。ニュースを見るたびに、「今動かなければ損をするのでは」と不安になる時代です。

一方で、「もう少し様子を見よう」と考え続け、気づけば動けなくなってしまう人もいます。

実は、不動産で後悔する人には共通点があります。
それは、“価格”ばかりに気をとられてしまうこと。

今日は、実際によくあるエピソードを紹介「後悔しやすい人の思考パターン」を整理してみたいと思います。


1|「高いうちに売らなきゃ」と焦って手放した人

夜、スマホで株価や不動産ニュースを見ながら焦った表情でマンション売却を決める40代男性

2021年頃、「これ以上は上がらないと思って」と、築浅マンションを売却した方がいました。

当時としてはかなり良い価格でした。
ただ、その後エリア全体がさらに上昇。

数年後、「子どもが大きくなってまた買おうと思ったら、同じ条件では買えなくなっていた」と話していました。

“高く売れたか”だけではなく、“次にどう暮らすか”まで考えることが大切です。


2|“いつか建て替え”を先延ばしした人

古いアパートの前で腕組みしながら「まだ大丈夫かな」と悩むオーナー。背景には足場と高騰する建築費のイメージ

「建て替えようとは思ってるんだけど…」

そう言いながら数年経過。
その間に建築費は大きく上昇しました。

結果として、当初成立していた事業計画が崩れてしまったケースがあります。

いまは、“いつでも建てられる時代”ではありません。


3|金利ニュースだけを見て購入をやめた夫婦

カフェで住宅ローン金利の記事を見ながら不安そうに話す若い夫婦

「金利が上がるってニュースで見たので、一旦やめます」

その後、物件価格そのものが上昇。
結果として、“金利以上に価格が上がってしまった”ケースです。

不動産は、金利だけではなく、「総額」で考える必要があります。


4|査定価格だけで不動産会社を選んだ人

複数の査定書を前に、一番高い数字だけを見て安心している売主

「一番高く査定してくれた会社にお願いしました」

ただ、実際には売れず、何度も価格変更。
半年後には、当初より安い価格で成約しました。

“高く査定する”ことと、“売れる価格を提案する”ことは別です。


5|修繕を後回しにしたビルオーナー

天井から漏水し、空室になったテナント区画を前に頭を抱えるオーナー

「まだ使えるから」

そう思って防水や配管更新を後回しにしていた結果、漏水が発生。

テナント退去と修繕費が重なり、結果的に大きな損失になりました。

先延ばしは、“コストを未来へ送る行為”でもあります。


6|“新築しか価値がない”と思っていた人

無機質な新築マンションと、温かみのあるリノベ古家を見比べて迷う夫婦

築年数だけで物件を判断していたご夫婦がいました。

ところが、実際にリノベ済みの古家を見た瞬間、

「なんだか、こっちのほうが落ち着きますね」

と価値観が変わったのです。

不動産は、“新しいかどうか”だけでは測れません。


7|相続した実家を“とりあえず空き家”にしていた人

草が伸びた空き家の前で、兄弟が「どうする?」と話し合えず立ち尽くしている様子

「家族でまだ決まっていなくて…」

そうして数年放置された空き家。

気づけば雨漏りやシロアリが進行し、解体費も上昇していました。

“決めないこと”もまた、一つの判断なのだと感じます。


8|「オリンピック後に暴落する」と信じて待っていた人

テレビの経済ニュースを信じ込み、「今は待ち」と考えている投資家

2019年頃、本当によく聞いた話です。

「オリンピック後に下がるから、その時買う」

しかし実際には、金融緩和や資材高騰で価格は維持・上昇。

不動産は、“予言”だけでは動きません。


9|設備だけで家を選んだ人

最新設備の家の中で、通勤疲れした表情を見せる家族

最新設備の新築住宅。

ただ、実際に住み始めると、

  • 通勤が遠い

  • 街に馴染めない

  • 子育て環境が合わない

といった悩みが出てきました。

設備は更新できます。
でも、“場所”は変えられません。


10|「売るか貸すか」を決められなかった人

机の上に「売却」「賃貸」の資料を並べ、悩み続けるオーナー

「もう少し考えます」

その言葉を数年繰り返した結果、建物はさらに老朽化。

市場環境も変わり、以前より選択肢が減ってしまいました。

不動産は、“動くこと”だけではなく、“動かないこと”にもリスクがあります。


大切なのは「価格」だけじゃない

焦る人。
動けない人。

一見正反対に見えますが、実は共通しています。

それは、“価格”ばかりに気をとられてしまうこと。

  • どんな暮らしをしたいのか

  • この場所をどう活かしたいのか

  • 誰と、どんな時間を過ごしたいのか

という視点が大切です。

不動産は「人生の時間」を共にする大切な資産。

だからこそ、相場だけではなく、“自分にとっての価値”を考えることが、結果的に後悔しない選択につながります。

下町で長く不動産に関わっていると、数字だけでは説明できない「選ばれる理由」があります。

今、売却や購入、活用について迷われている方がいれば、“価格以外の視点”から整理してみるのも良いかもしれません。

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