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誰も見ていない?!神仏関係人口の街

暮らしと都市デザイン

中野 治

筆者 中野 治

宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー®️・古家再生投資プランナー®️・一級建物アドバイザー
20年以上の経験を活かし、住宅購入や不動産、資産運用、ライフプランに関するアドバイスを提供。初めての不動産売却や物件購入、借り換えを検討中の方に寄り添った提案が得意。セミナーやブログを通じて、不動産や資産形成に関する情報を発信中。

今回は最近気になる街の空気について、わたしたちが拠点にしている東京下町でも気になることが起きています。歴史と静寂が同居する街の風景、その足元に目を向けた、どこか冷ややかな視点のテーマです。笑


浅草と上野の間、浅草でも上野でもない「元浅草」仏壇屋が並ぶ大通りから一本入れば、古くからの寺院が点在する、いわゆる「寺町」です。


地域の主要道「浅草通り」は電柱等の地中化が進み、スカッと空も広い、いわば街の表舞台。ここを歩く人々は、リラックスしながらも背筋を伸ばし、気丈に歩いています。


しかし、一本裏の「左衛門橋通り」や名もなき小道に足を踏み入れると、風景は一変。昭和の面影を残す電柱、入り組んだ路地。そこには表舞台にはない、どこか「ゆるい」空気が漂っています。


その「ゆるさ」の象徴か、足元に転がる白い吸い殻たち。




「誰も見ていない」という自由


台東区には、路上喫煙やポイ捨てを禁止する条例があります。公園には税金を投じて作られた、シェルターのような喫煙所もあります。そこまでお膳立てされてもなお、路上で消された火種が、街路の側溝に吸い込まれていく。


「誰も見ていない」


アスファルトの亀裂、雨上がりの水たまり、マンホールの縁。

吸い殻が吸い込まれていくのは、決まって「視線の死角」。


表通りの堂々とした往来の中ではコンプライアンスを遵守する善き市民、旅行者。

人通りの途絶えた小道は緊張感が薄く、煙が漂い、人々の指先が緩む。


「わかっちゃいるけど」


条例やモラルが、古い電柱の影に吸い込まれて消えていく。




側溝という街のゴミ箱


興味深いのは、側溝やマンホールの周りに集まりやすいということ。その隙間は「ポイ捨て」という罪悪感を水に流してくれる「浄化装置」。「地面に捨てるのは気が引けるが、隙間に落とせばもはや見えぬからよい」そんな、傲慢で洗練された自己弁護が透けて見えるのです。


「お天道様が見てますよ」


そうそう、八百万の神々や仏さまなど「関係人口」には含まれていないんです。


街の価値は、坪単価や新築マンションの数だけで決まるのではありません。その街を歩く人間が、どれだけ「誰も見ていない場所」で自分を律せられるか。その集積が、街の「質」という目に見えないオーラを作る。千代田区や港区はそんな緊張感があります。


吸い殻一本で、街の価値が暴落するわけではありませんが、雨に濡れてふやけたフィルターが側溝に吸い込まれていくのを見るたびに感じるアイロニー。




自宅の前にタバコの吸い殻が落ちているのは気持ちいいものじゃないし、街路に「禁煙」「No Smoking」「タバコはご遠慮ください」なんてダサい看板はつけたくない。


今日も路地裏で、白い吸い殻が静かに「本音」を語っています。私も昔はポイポイすててましたから、路上喫煙やポイ捨てがいつか過去の笑い話になるとき、今よりもっと、歩くのが誇らしい街になっていて欲しい。街の伸び代は、まだまだ足元に転がっています。



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