
いい街は“なんとなく気持ちいい”|バイオフィリックウォークのススメ
春の空気に誘われて、街を歩く。
特別な目的があるわけではなく、ただゆっくりと歩いてみる。
意識して歩いてみると、アスファルトに囲まれた街並みに
建物と建物の間に、やわらかく光が差し込んでいる。
見上げれば色彩鮮やかな新緑と花々。
足元には小さな植栽、少し先に抜ける空。
ゆっくりと深呼吸をしてみる。
なぜか、その場所に立つと落ち着く。
理由はわからないけど、何か「いい感じ」。

不動産の仕事をしていると、
「駅から何分か」「築何年か」「いくらで売れるか」といった、
分かりやすい指標で物件を見ることが多くなる。
もちろんそれらは重要な要素だ。
ただ、それだけでは説明できない価値が確かにある。
うちの近所はハコモノばかり
そんなところでも感じられるのか、
今日は近所をバイオフィリックウォークしてみる。
バイオフィリックウォークとは、
自然(光・風・緑など)を感じながら街を歩き、
心地よさの理由を体感してみること
その気づきを暮らしや活動のなかを考えるアプローチ。

いくつかの共通点が見えてくる。
ひとつは、「光」。
建物の隙間や木々を通して、やわらかく届く光。
時間帯によって表情を変え、街にリズムをつくっている。
ふたつ目は、「抜け」。
視界が完全に閉じず、かといって開けすぎてもいない。
路地の先に見える空や、建物越しに感じる奥行き。
この“奥行きが気になる感覚”、空間に心地よさを生み出している。
そして三つ目は、「余白」。
すべてが設計され尽くしているのではなく、どこかに余白がある。
小さな植栽や、手入れされた花壇、何気ない空きスペース。
余白が、人にも他の生き物にも“場所”を与えている。
「なんとなくいい街」「長く住みたくなる場所」に感じる要素
人は本能的に、自然とのつながりを求めると言われている。
これが「バイオフィリア(Biophilia)」という考え方だ。
都市の中であっても、
・緑がある
・土がある
・光がある
・風が通る
・空が見える
といった環境に触れることで、
無意識のうちに安心感や快適さを感じている。
つまり、先ほどの「なんとなく気持ちいい」は、
偶然ではなく、必然的な現象なのだ。
そこには人以外の生き物が息づいている。
不動産を考える際、どうしても価格や広さ、利便性といった
“比較しやすい要素”に目が向きがちだ。
ただ、この余白が活きた空間の心地よさは伝わらない。

実際に、同じ条件の物件でも、
「なぜかこちらの方がいい」と感じることがある。
その理由の多くは、こうした環境的な要素にあるのではないか。
選ばれる物件は、必ずしも“条件が一番いいもの”とは限らない。
むしろ、少し曖昧で、しかし本質的な感覚が、決め手になる。
ReGoでは、Give Spaceという考え方を大切にしている。
Give Spaceとは、人間のためだけではなく、
他の生き物にスペースを返していくという発想だ。
都市の中に、余白をつくり、人以外の生き物に場所を還していく。
人にとっての快適さと、環境配慮は対立しない
むしろ、長期的に見れば、
・環境が良い場所は選ばれ続ける
・選ばれる場所は価値が維持される
バイオフィリックウォークで感じることは
決して特別な場所だけの話ではない。
少し意識を向けるだけで、
街の見え方は大きく変わる。
その場所の物語と、あなたの物語を紡ぐ
Give Spaceという都市デザインのプロセス
長く暮らす場所を考えるきっかけに。
