ライフステージの変化に合わせた不動産売却とは?メリットや方法を解説の画像

ライフステージの変化に合わせた不動産売却とは?メリットや方法を解説

不動産売却

中野 治

筆者 中野 治

宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー®️・古家再生投資プランナー®️・一級建物アドバイザー
20年以上の経験を活かし、住宅購入や不動産、資産運用、ライフプランに関するアドバイスを提供。初めての不動産売却や物件購入、借り換えを検討中の方に寄り添った提案が得意。セミナーやブログを通じて、不動産や資産形成に関する情報を発信中。

不動産を売却する理由はさまざまですが、ライフステージの変化がその中でも特に多い理由です。

結婚や子どもの独立、親が亡くなったなどのタイミングで不動産を売却することには、どんなメリットがあるのでしょうか。
この記事では、ライフステージに合わせた不動産売却のメリットや方法について解説します。

ライフステージの変化による不動産売却の方法:出産

ライフステージの変化による不動産売却の方法:出産

出産で家族が増えると、住まいが手狭に感じ、音が気になるため一戸建てに引っ越しを考えることもあります。
まずは、出産のタイミングで不動産を売却する方法と、そのメリットについて詳しく見ていきます。

出産のタイミングで不動産を売却する方法

出産のタイミングは、家族の生活を見直す良い機会です。
計画的に不動産の売却を進めることで、新しい生活を円滑に始める準備を整えましょう。
スムーズな売却を目指すスケジュール設計
出産前に不動産を売却する場合、早めの行動が重要です。
不動産売却では、内覧対応や不動産会社とのやり取りが必要となるため、妊娠中の身体的・精神的負担を軽減するためにも、計画的なスケジュールが求められます。
不動産の売却には通常3~6か月程度かかるため、出産予定日を逆算して売却活動を開始するタイミングを決めましょう。
たとえば、12月に出産予定の場合は、5~6か月前の6月ごろに準備を始めるのが望ましいです。
売却活動のピークを狙う
不動産市場が活発になる2~3月や9月に売却活動をおこなうと、買い手が見つかりやすい可能性があります。
また、早急に売却したい場合は、値下げ交渉に応じるか、不動産会社に買取を依頼することも検討することが重要です。

出産のタイミングで不動産を売却するメリット

家が手狭になるのを防ぐ
子どもが生まれると、家のなかが手狭に感じることがあります。
出産前に家を売却し、新しい広い住まいに移ることで、子ども部屋や収納スペースを確保し、将来の成長に対応できる住環境を整えることが可能です。
資金計画を立てやすい
出産前に家を買い替えることで、育児や教育費用を考慮した資金計画が立てやすくなります。
共働き家庭の場合、奥さんが働けなくなる期間も考慮し、無理のない住宅ローン返済プランを立てることが重要です。
子育ての環境を選べる
新しい住まいを選ぶ際には、子どもが通う学校の近くに住みたい、自然の多い地域で育児をしたいなど、自分たちの育児方針に合ったエリアを選ぶことができます。
引っ越しが楽になる
出産後は子どものおもちゃや育児用品が増えるため、引っ越し作業が大変になることがあります。
そのため、荷物が比較的少ない出産前に引っ越しを済ませると負担を軽減できます。

ライフステージの変化による不動産売却の方法:子どもが独立

ライフステージの変化による不動産売却の方法:子どもが独立

子どもが独立するタイミングも、家の使い勝手を見直す良い機会です。
部屋数が多すぎたり、管理が大変で売却を考える方もいます。
続いては、子どもが独立したタイミングでの不動産売却の方法やメリットについて解説します。

子どもが独立するタイミングで不動産を売却する方法

家の広さや管理のしやすさを考慮し、老後を快適に過ごせる新しい住まいへの住み替えを検討してみましょう。
不動産会社のサポートを活用すれば、スムーズに売却が進み、新しい生活を始めることができます。
リフォームが必要かどうかを判断する
子どもが独立するまで住んでいた家は、築年数が経過し、経年劣化している場合があります。
不動産売却に際してリフォームは必須ではありませんが、以下のような場合には最低限の修繕を検討しましょう。

●給湯器などの重要な設備が壊れている
●外観があまりにも老朽化している


このような状態では内覧時の印象が悪くなり、購入希望者から値下げ交渉を受けやすくなります。
ただし、大規模なリフォームをおこなうと費用を回収できないリスクがあるため、必要最小限の修繕にとどめることが重要です。
判断が難しい場合は、不動産会社に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。
査定とスケジュールをしっかり立てる
売却活動を始める前に、不動産会社による査定を受け、現在の家の市場価値を把握しましょう。
そのうえで、自分の希望する売却時期や価格に合わせてスケジュールを立てることが重要です。

子どもが独立するタイミングで不動産を売却するメリット

新たな生活で新鮮さを感じられる
子どもが巣立った後の住み替え先としては、現在の住まいや実家、子どもが住むエリア、まったく新しい土地など、さまざまな選択肢があります。
慣れた場所に住み続ける安心感も魅力ですが、思い切って新しい環境に移ることで、日々の生活に新鮮さを感じ、良い刺激を得られるというメリットもあります。
老後の暮らしを見据えた住環境が整えられる
老後の生活を考えると、利便性や安全性が重要なポイントになります。
たとえば、セキュリティがしっかりしたマンションに住み替えることで、防犯面での安心感が得られるでしょう。
また、バリアフリー設計の住宅や公共交通機関へのアクセスが良い場所を選ぶことで、老後の生活に必要なサポートが得られます。

ライフステージの変化による不動産売却の方法:親が亡くなる

ライフステージの変化による不動産売却の方法:親が亡くなる

親が亡くなり、相続した不動産を売却する場合、特別な手続きが必要になるため、事前に流れや注意点を把握することが大切です。
最後に、親が亡くなるタイミングで不動産を売却する方法、利用できる特例、メリットについて解説します。

親が亡くなるタイミングで不動産を売却する方法

親の不動産を相続する際には、適切な手続きと特例の活用が重要です。
トラブルを避け、スムーズに売却を進めるためには、不動産会社や専門家に相談することが必要です。
所有権移転登記の手続き
親が亡くなった時点では不動産の所有権は親にあるため、そのまま売却することはできません。
まず、相続人名義に変更する「所有権移転登記」をおこなう必要があります。
この手続きは法務局でおこない、司法書士に依頼するとスムーズです。
所有権移転登記に必要な主な書類は、以下のとおりです。

●相続人・被相続人の戸籍謄本
●相続人の住民票
●固定資産評価証明書
●遺産分割協議書(必要に応じて)


2024年4月から相続登記が義務化され、相続開始から3年以内に手続きをおこなわなければならなくなります。
怠ると最大で10万円の過料が課せられるため、注意が必要です。

相続した不動産を売却する際に使える特例

マイホーム売却の特別控除
親の家に同居していた場合、マイホームの売却とみなされ、譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けることができます。
ただし、親と同居していなかった場合は適用外となるため、注意が必要です。
小規模宅地等の特例
亡くなった親の家が小規模な宅地である場合、330㎡までの土地の評価額を80%減額できる特例が適用されます。
とくに戸建ての家の売却時には、大幅な節税が期待できます。
被相続人の居住用財産(空き家)売却特例
親から相続した空き家を売却する場合、譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けられる制度です。
適用条件は、以下のとおりです。

●昭和56年5月31日以前に建築された建物であること
●相続開始から3年目の12月31日までに売却すること
●売却金額が1億円以下であること


また、2024年からは、耐震改修や更地化の工事を買主が行った場合でも適用可能になるなど、条件が緩和されました。

親が亡くなるタイミングで不動産を売却するメリット

遺産分割でのトラブルを防ぐ
不動産は現金と異なり分割が難しいため、相続人同士でトラブルが発生することがあります。
不動産を売却して現金化すれば、1円単位で遺産を分割でき、揉めるリスクを減らすことができます。
また、売却代金を相続税の支払いに充てることで、相続税の負担を軽減することが可能です。

まとめ

ライフステージの変化(出産、子どもの独立、親が亡くなる)に伴う不動産売却はよくあります。
タイミングに応じた最適な住まいや方法を選び、出産前は早めの売却を検討し、買取も考慮すると良いでしょう。
また、独立や相続時の売却は、新しい環境作りや遺産分割のトラブル防止に役立ちます。


”不動産売却”おすすめ記事

  • 不動産売却前にリフォームしたほうがいい?メリットや費用相場を解説の画像

    不動産売却前にリフォームしたほうがいい?メリットや費用相場を解説

    不動産売却

  • 老後資金の準備方法について!自宅活用や不動産投資も解説の画像

    老後資金の準備方法について!自宅活用や不動産投資も解説

    不動産売却

  • 不動産売却時の減価償却とは?減価償却の計算方法や注意点について解説の画像

    不動産売却時の減価償却とは?減価償却の計算方法や注意点について解説

    不動産売却

  • 不動産売却にかかる税金は3種類!譲渡所得税の計算方法や節税のコツを解説の画像

    不動産売却にかかる税金は3種類!譲渡所得税の計算方法や節税のコツを解説

    不動産売却

  • 不動産売却後に確定申告は必要?確認する方法や忘れた場合のリスクを解説の画像

    不動産売却後に確定申告は必要?確認する方法や忘れた場合のリスクを解説

    不動産売却

  • 不動産売却時の費用の種類・相場は?節約方法として活用できる控除も解説の画像

    不動産売却時の費用の種類・相場は?節約方法として活用できる控除も解説

    不動産売却

もっと見る