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ペット可物件に需要はある?不動産投資をおこなうメリット・注意点を解説

不動産投資

中野 治

筆者 中野 治

宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー®️・古家再生投資プランナー®️・一級建物アドバイザー
20年以上の経験を活かし、住宅購入や不動産、資産運用、ライフプランに関するアドバイスを提供。初めての不動産売却や物件購入、借り換えを検討中の方に寄り添った提案が得意。セミナーやブログを通じて、不動産や資産形成に関する情報を発信中。

投資目的で不動産を購入する場合、その物件にどれくらいの需要があるか見極めることがポイントです。

ライバルと差別化を図るならば、より高い需要が見込める不動産に投資するのがおすすめです。
そこで今回は、不動産投資をお考えの方に向けて、ペット可物件の需要のほか、ペット可物件での投資のメリット・デメリット・注意点を解説します。

不動産投資の対象としてペット可物件に需要はある?

不動産投資の対象としてペット可物件に需要はある?

不動産投資を始める前には、ペット可物件にどの程度の需要があるかを見極めましょう。

猫の飼育数は増加傾向にある

一般社団法人ペットフード協会による調査では、2012年以降、犬の飼育率が減少傾向にあるとされています。
これは全国的な調査結果であり、地域を問わず犬の飼育が減少していることを示しています。
一方、猫の飼育率は増加傾向にあり、飼育数も増加しているでしょう。
猫を飼う人が増えていることが分かります。
不動産投資としてペット可物件を検討する場合、猫のためのキャットウォーク設置を考慮するのも一案です。

今後の飼育意向調査

実際の飼育数だけでなく、今後の飼育意向調査からも、猫の人気の高さがうかがえます。
犬の飼育意向は低下傾向にありますが、飼育意向を持つ方の割合は18.4%です。
今後どれだけ飼育意向の低下が続くかは不透明ですが、現時点で犬を飼いたいと考える方は一定数存在します。
一方、猫の飼育意向について、2021年の飼育希望割合は15%でした。
犬よりも割合は低いものの、猫は犬と反対に増加傾向が見られます。
今後も増加傾向が続くと予測される場合、猫に特化したペット可物件への不動産投資は安定した利益が期待できます。

新型コロナウイルス流行後の社会の変化

2020年から始まった新型コロナウイルスの流行は、ペット可物件の需要に大きな影響を与えたとされています。
新型コロナウイルスの流行は在宅時間の増加をもたらし、ペットの需要を高めたと考えられます。
実際の調査では、ペットの存在によって心が穏やかに過ごせる日が増えたとの回答や、毎日の生活が楽しくなったとの回答が目立つでしょう。
新型コロナウイルスの流行後、犬と猫を飼っている方の36~42%が、ペットによるポジティブな影響を実感しています。
新型コロナウイルスがある程度収束した現在でも、リモートワークなど在宅勤務を続けている方は一定数存在します。
そのため、新型コロナウイルス後の社会では、ペットに対する需要が新型コロナウイルス前よりも増加していると考えられるでしょう。

ペット可物件で不動産投資をおこなうメリット・デメリット

ペット可物件で不動産投資をおこなうメリット・デメリット

実際にペット可物件に対して不動産投資をおこなう前には、メリットとともにデメリットを把握することが大切です。

メリット①空室になりにくい

多くの賃貸物件はペットの飼育を禁止しているため、ペット可物件には希少価値があります。
ペット可物件は、ペットとの生活を希望する方に高い人気があり、空室になりにくいというメリットがあります。
一度ペットを飼うと、長期間同じ賃貸物件に住み続ける方が多く、空きが出にくいのもペット可物件の特徴です。
ほかにペット可物件がない場合、同じ賃貸物件に住み続ける選択肢を選ぶ方が多いでしょう。

メリット②大きな利益が見込める

ペット可物件には希少価値があるため、家賃を高めに設定できるというメリットがあります。
家賃を高く設定すると入居者が集まらないと考えるかもしれませんが、ペットと暮らせるならば、家賃が高くても問題ないと考える方は一定数います。
お金を払ってでもペットと暮らしたい方をターゲットにすれば、空室が発生せず、大きな利益が見込めるでしょう。
同じエリアにペット可物件がなく、ライバルとなる賃貸物件と差別化ができれば、高い人気を維持することができるでしょう。

デメリット①室内に傷がつきやすい

ペット可物件は室内に傷がつきやすく、原状回復のための修繕に費用がかかるというデメリットがあります。
ペット可物件では、小型犬や猫を飼う方が多く、ペットが走り回ることで床に傷がつきやすくなります。
また、猫は爪を研ぐ習性があるため、壁が損傷することもよくあるでしょう。
さらに、動物には独特な体臭があり、壁紙などに染み込んで室内全体のにおいが取れなくなることがあります。
ペット可物件では敷金を高めに設定することが一般的ですが、入居者の負担についてトラブルが生じる可能性もあります。

デメリット②近隣トラブルになりやすい

不動産投資のためにアパートを丸ごと購入する場合など、オーナーチェンジのタイミングでペット可物件にすることがあります。
この場合、以前からの入居者がペット飼育に関して不満を持つ可能性があります。
それまでペット禁止だった賃貸物件をペット可物件に変更した後、においや騒音などがトラブルに発展しやすいことがデメリットです。

ペット可物件で不動産投資をおこなう場合の注意点

ペット可物件で不動産投資をおこなう場合の注意点

ペット可物件のメリット・デメリットを把握したうえで不動産投資を始める場合、注意点をチェックしておきましょう。

注意点①原状回復のルールを決める

ペット可物件でトラブルになりやすいのは、入居者が退去するタイミングです。
ペットが禁止されている賃貸物件では、故意に付けられた傷以外は原則として入居者が原状回復費用を負担することはありません。
しかし、ペットとの生活が前提となっているペット可物件では、どこまでの損傷を入居者の負担とするかが問題となります。
そのため、賃貸借契約を結ぶ際には、原状回復の条件を具体的に設定することが重要です。
日常生活で発生する室内の損傷だけでなく、ペットが原因で発生する損傷についても、どこまで入居者に費用負担してもらうかを決めておきましょう。

注意点②飼育可能なペットの規定を作る

ペット可物件では、入居者にペットの飼育が許可されていますが、ペットの種類や頭数について一定の規定が必要です。
ペットの規定を設けずに不動産投資を始めると、大型犬の複数頭飼いや、室内が大きく破損するなどの問題が発生する可能性があります。
また、鳴き声による騒音問題も起こりやすくなります。
一般的なペット可物件には、猫は2匹まで、犬は小型犬のみといった規定が設けられています。
不動産投資の対象となる賃貸物件の広さや間取りを考慮したうえで、飼育可能なペットについての規定を作成しましょう。

注意点③共用スペースでのルールを設ける

マンションなどの集合住宅には、入居者が共同で使用する共用スペースに関するルールがあります。
ペット可物件では、こうした共用スペースのルールについて特に注意が必要です。
廊下やエレベーターでのトラブルを防ぐためには、共用スペースではペットを抱いて移動するか、ケージに入れて移動するなどのルールを設けることが重要です。

注意点④建物全体がペット可か確認する

マンションの1室を不動産投資に活用する場合、建物全体がペット可であるかを確認することが重要です。
不動産投資のためにマンションの1室を購入する際、説明に「ペット可」と記載があっても、同じ建物内にペット不可の部屋がある可能性があります。
ペット可の部屋とペット不可の部屋が混在しているマンションでは、ペットのにおいや騒音を巡ってトラブルが発生しやすいという特徴があります。
このようなマンションでは、入居者が見つかってもすぐに退去してしまうリスクがあるため、安定した不動産投資には不向きと言えるでしょう。

まとめ

新型コロナウイルスの流行により在宅時間が増えた影響から、ペット可物件の需要は上昇傾向にあります。
ペット可物件での不動産投資には、ほかの賃貸物件と差別化が図れるメリットがあるものの、原状回復に費用がかかることはデメリットです。
原状回復費用負担のルールや飼育可能なペットの規定など、ペット可物件で不動産投資をする場合の注意点もチェックしてみてください。


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