不動産購入時の予算は?年収を考慮した計算方法や返済比率について解説!

不動産購入

中野 治

筆者 中野 治

宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー®️・古家再生投資プランナー®️・一級建物アドバイザー
20年以上の経験を活かし、住宅購入や不動産、資産運用、ライフプランに関するアドバイスを提供。初めての不動産売却や物件購入、借り換えを検討中の方に寄り添った提案が得意。セミナーやブログを通じて、不動産や資産形成に関する情報を発信中。

マイホームの購入予算は、住宅選びをするうえで重要になる項目の一つです。

年収や家計に応じて計画を立てないと、失敗する可能性が高いので注意しなければなりません。
そこで今回は、不動産購入の予算がどれくらいか、計算方法や住宅ローンの返済比率について解説します。

年収から判断する不動産購入の予算とは

年収から判断する不動産購入の予算とは

不動産を購入するときの予算は「年収倍率」「頭金」「住宅ローンの借入可能額」で判断するのが一般的です。
それぞれどのような数値か、概要を確認しておきましょう。

予算の決め方①年収倍率から判断する

年収倍率とは「住宅購入価格が年収の何倍になっているか」を示す数値です。
基本的に、以下の計算式で数値を算出します。
住宅の購入価格(所要資金)÷世帯年収
年収倍率はひと昔前まで「住宅購入価格の5倍以内」といわれていましたが、マイナス金利の影響で実情に合わなくなったのが現状です。
現在では、年収の5〜7倍程度が目安となっています。
たとえば、年収300万円なら1,500万円〜2,100万円、年収500万円であれば2,500万円〜3,500万円です。

予算の決め方②頭金から判断する

不動産購入における頭金とは、代金の一部を先払いすることです。
住宅ローンの総額から差し引くために使うお金であり、将来的な返済負担を軽減できます。
頭金を多く支払えば、返済負担を大幅に少なくできますが、想定外の出費に困るケースがあるでしょう。
無理のない支払いをするために、頭金は不動産購入価格の1割程度に設定しておくことをおすすめします。

予算の決め方③住宅ローンの借入可能額から判断する

住宅ローンの借入可能額とは、金融機関から融資を受けられる金額です。
住宅ローンを借りるときには、金融機関から審査を受け、その結果をもとにして借入可能額を決定します。
一般的に、借入可能額は年収の20〜25%が目安です。
それ以上の金額になると返済が苦しくなり、将来的に家計を圧迫させるおそれがあります。
不動産購入時の予算は、無理なく返済が続けられそうか、慎重に検討しなければなりません。

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不動産購入で知っておきたい年収を考慮した予算の計算方法

不動産購入で知っておきたい年収を考慮した予算の計算方法

マイホームの購入で失敗しないよう、予算の計算方法を把握しておくのがポイントです。
年収を考慮した不動産購入時の予算は、以下の計算式を用います。
頭金+住宅ローン借入可能額
それぞれどのように金額を決めていくのか、事前に流れを確認しておきましょう。

頭金として使えるお金を計算する

不動産購入時の予算を決めるときには、まず頭金を算出します。
頭金は多ければ多いほど、将来的な返済が軽くなる費用です。
そのため、貯金をすべて頭金の支払いに充ててしまうケースがあるでしょう。
しかし、この行為は生活が成り立たなくなる可能性が高いため、おすすめしません。
万が一に備えて、生活予備費や将来への貯蓄を手元に残しておく必要があります。
つまり、貯蓄から不動産購入の諸費用・生活予備費・将来への貯蓄を引いた額が、頭金として使える金額です。
計算式にすると、以下のようになっています。
頭金=手持ちの現金および引き出せる貯金−(不動産購入の諸費用+生活予備費+将来への貯蓄)
不動産購入時の諸費用として挙げられるのは、仲介手数料や印紙税などです。
生活予備費は、会社員なら生活費の3~6か月分、自営業であれば1年分を目安に残しておきましょう。
毎月どの程度の生活費がかかっているかを事前に把握しておくと、計算がしやすくなります。
さらに、教育資金や自動車購入費など、将来的にかかる費用もある程度残しておくのがポイントです。
何にいくら必要か、年収を考慮しながら資金計画を立てていきましょう。

住宅ローンの借入可能額をシミュレーションする

頭金を把握したら、住宅ローンの借入可能額をシミュレーションしていきます。
住宅ローンにおける年間返済額は、年収の25%以内が目安です。
たとえば、年収400万円なら借入可能額は2,540万円、年収600万円であれば3,830万円が基準となっています。
注意点として、住宅ローンの借入可能額は、年収のみで判断されるわけではありません。
同じ年収であっても、家族構成や年齢などの条件によって、借りられる額は異なります。
不動産購入を検討しているなら、事前に住宅ローンの借入可能額を把握しておくと良いでしょう。
金融機関の事前審査を受ければ、大まかな金額が把握可能です。
頭金に住宅ローンの借入可能額をプラスしたものが、不動産購入の予算として使える金額となっています。
予算を把握しておけば、無理のない返済計画も立てやすくなるでしょう。

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不動産購入で知っておきたい住宅ローンの返済比率とは

不動産購入で知っておきたい住宅ローンの返済比率とは

適正な借入金額を判断する指標として、住宅ローンの返済比率があります。
この指標にはどのような意味があるのか、計算方法や目安をチェックしておきましょう。

住宅ローンの返済比率とは何か

住宅ローンの返済比率とは、年収に占める年間返済額の割合です。
ケースによっては「総返済負担率」と表記される可能性があります。
金融機関の審査では、この返済比率が重視されており、数値が高いほど審査を通過しにくくなるのです。
そのため、住宅ローンを借りるときには、返済比率を下げる工夫をしなければなりません。
年収を考慮し、無理のない借り入れをおこなう必要があります。
将来的に家計を圧迫させないよう、目安を参考にした返済比率を検討しましょう。

住宅ローンの返済比率を計算する方法

住宅ローンの返済比率は、以下の式で求められます。
返済比率(%)= 年間の返済額の合計÷額面年収×100
額面年収600万円の方が、年間120万円の返済をおこなっているときには、下記の数値が算出されます。
返済比率(%)=120 万円÷600 万円×100=20.0%
注意点として、年間の返済額は住宅ローンだけでなく、そのほかの借り入れも含めなければなりません。
たとえば、自動車ローンを返済しているケースでは、自動車ローンの年間返済額と住宅ローンの年間返済額を足した金額が、年間の返済額となります。
不動産を購入するときには、住宅ローン以外に借り入れをおこなっている商品がないか、調べておくことが大切です。

住宅ローンの返済比率を決めるときの目安

住宅ローンにおける返済比率の上限は、金融機関によって異なります。
独立行政法人住宅金融支援機構が提供しているフラット35では、年収400万円未満のときに返済比率30%以下、年収400万円以上なら35%以下です。
これらの金額を上限に設定していますが、すべてのケースで返済が苦しくならないといったわけではないので、注意しなければなりません。
返済が難しいといったケースもあるので、それぞれの状況に合わせて、無理のない返済計画を立てていきましょう。
一般的には、住宅ローンの返済比率が25%以内になるよう、設定する必要があります。
家族構成や年齢・将来のライフプランなど、あらゆるリスクを想定したうえで、借入金額や返済比率を検討するのがポイントです。

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まとめ

不動産購入時の予算は、年収倍率や頭金・住宅ローンの借入可能額を参考にして判断します。
予算を決めるときの計算式は「頭金+住宅ローンの借入可能額」となっているので、それぞれ金額を把握しておきましょう。
住宅ローンの返済比率も予算を決める重要な指標であり、一般的には25%以内を目安に返済計画を立てる必要があります。

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リゴ不動産

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